入院

2004/08/31

夫が入院、手術をした。現在は既に退院し自宅療養中である。突然の出来事、そして初めての出来事で正直とまどった。
病名は「精巣腫瘍」。一般的には馴染みの少ない病名であるし、特に女性にはピンと来ない病気だと思う。


夫の体の異変?に気づいたのは8月のはじめの頃。我が家では結婚当時からお風呂は一緒に入るのだが、その際に「?」と思い始めた。そのことを夫に告げると、最初は特に気にしていなかった夫であったが、日増しに本人にも自覚症状が現れた。要するにその部分が腫れて大きくなってくるのだ。
あまり人目につかない部分ではあるし、日頃気にして見る部分でもないので、いつ頃その症状が始まったのか正確にはわからないが、とにかく本人が「歩いていると邪魔に感じる」くらい大きくなってきていたのだ。


さすがに不安になってきて、ネットで少し調べてみると、関連したサイトが結構見つかる。そして、どのサイトでも書かれているのが「気になるようなら早めに医師の診断を」ということだった。それで8月13日に夫は決心し、病院へ行ったのだった。家から一番近くにある大きな病院で検査を受ける。結果、少し遠くの大学病院での更なる検査を進められた。この時点でやや不安になる。


その翌日、紹介された大学病院で検査を受ける。帰宅した夫から「手術することになった」と聞いたときには驚いた。さらに、19日から入院し、20日に手術すると聞き、あまりに急な話の展開に、驚くと同時に、何か現実の話として受け取っていない自分がいた。


そしてあっという間に入院生活がはじまる。入院一日目は今までとなんら変わらない元気な様子で、しかもお昼に病院の食事としてヤキソバが出てビックリ。ペロリと平らげる。
手術前日まで、今までどおりに生活しフツウに元気に過ごしていた夫。実際この人が明日手術を受けるような病気を持っている、とは信じがたい様子であった。
担当の医師から病気について、そして手術についての説明を受ける。その詳細な内容はまた別の時に機会があればこのサイトで紹介したいと思うが、とにかく、医師の説明で、思っていたより楽観していてはいけないのだと知る。


「精巣腫瘍」は、ほかの部分の腫瘍と違い、事前に組織検査が出来ず、その部分を手術で取った後に組織の検査、つまり悪性(ガン)であるか良性であるかの検査をするそうで、手術が終わった後でも、その組織の検査が出るまで少し時間がかかると言う。手術前の検査で、ほかの部分に転移がないことがわかっているのでやや不安は減ったが、万が一悪性だったらと思うとかなり心配になる。


手術前日の夜、病院に夫を残し自宅へ帰る。帰宅した後、普段通りの生活を心がけるのだが、何をやっていても手術のこと、そして病気のことが気になってしまう。夜パソコンに向かってみたが、自然に涙が出てきて仕事にならない。転移がないので、その部分を取ってしまえば大丈夫、と言った医師の言葉を信じているが、それでもやはり不安は拭えない。悶々と眠れぬ夜が過ぎた。


20日、朝から病院へ。手術室へ入る夫を見送り病室で待つ。手術開始から約3時間ほど経っただろうか、看護師サンに呼ばれ手術室へ行く。無事手術が終了したようだ。
そして執刀した担当の医師から、切り取った腫瘍を見せてもらう。大きい。こんなものがカラダの中にあったのか。その腫瘍を示しながら医師が詳細に説明をしてくれた。非常にわかりやすく、納得できた。そしてこれからその腫瘍を組織検査にまわすという。


手術前の元気な様子とはうってかわって、手術後の夫は麻酔の影響もあってか朦朧としており可哀想な状態だった。面会時間が終わるので、夜には病室を離れなくてはならなくて、なんだかしのびなかった。
翌日、病室を訪れた際も点滴などのチューブが何本もつながれた姿は痛々しくて、出来ることなら代わってあげたいくらいだった。
が、意外なことに食欲はあるようで、しかも病院の食事がいきなり普通のメニューになっていて、案外早いうちに社会復帰できるのかも、と期待してしまった。


数日後、点滴の管もとれつかまり歩きが出来るようになる。食欲も旺盛。回復しつつあるのか。そして27日、抜糸。その日のうちに退院。自宅療養の生活が始まる。
手術の傷はまだ完全にはふさがっていないし、本人の痛みもまだ続いている。長い間立っていることはまだ無理だし、椅子に座り続けることも難しい。階段の昇り下りも一苦労だ。この分だと、電車に乗って会社へ行き、今までどおり仕事が出来るようになるまではまだ時間が掛かりそうだ。
医師によると、食事や生活や、そういう面で気をつけなくてはならないこと、というのは残念ながら無いそうだ。要するに、今回の病気になった原因というのは現代の医学ではまだ解明されておらず、どうしたら再発しないか、とか、どうしたら転移しないか、とかそういうことは分からないのだそうだ。
できる限り普通に生活し、今まで通りの生活に一日も早く戻ること、それが今出来る精一杯のことのようだ。
とにかく、今後は定期的に病院で検査を受け、早期発見早期治療を心がけることだ。